Canal de Midi

本宅のカヴァーフォトを更新。我ながら近頃、真面目である。
この写真を撮ったのは数年前の冬の終わり。中世最大の城郭都市カルカソンヌへ向かう橋の上から使い捨てカメラで撮影。黄昏時の暗い光線だったにもかかわらず、橋の手すりを三脚替わりにしたおかげで手ブレなし。使い捨てカメラも莫迦にできない。

ミディ運河は一九九六年に世界遺産に指定されたらしい。地中海に面したトー湖から大西洋へ流れ出るトゥールーズのガロンヌ河へとつづく、全長二四〇キロにおよぶ長大な運河である。十九世紀に鉄道運輸にその座を取って代わられるまで、地中海沿岸と大西洋沿岸を結ぶ貴重な輸送ルートだった。
この運河の存在を教えてくれたのは飲み友達のT教授。鉄道史が専門で、なんちゃない研究論文を書いて(失礼)JRから助成金を巻き上げ、その金でフランスで呑んだくれるというロクデナシ仲間である。T教授が南仏の我が家へ遊びにきたおり、ミディ運河を見学に行かないかと誘われた。そんなものがあるなんて知らなかった。いや、目にしたことはあったはずだが、ただの河だと思っていたのだろう。

見にいったものの、やっぱりただの河にしか見えない。現在は無用の長物と化し、観光客相手の運河クルーズが人気を博しているらしい。クルーズ船に乗ってトゥールーズまで辿っていけば、この運河の壮大さが実感できるかも知れないが、この船遊びを楽しんでいるのはお年寄りばかりである。船足は遅く、途中途中にある閘門(ロック)で一時間あまり待たされる。閘門の沿岸にはカフェが立ち並び、船客たちは下船してカフェで一杯やりながら待機するという仕組み。のんびりというか、チンタラというか、時の流れがゆるく感じられる年代になってから乗ってみようと思った。